CFOメッセージ

堅実なプロジェクトの遂行や徹底した価格マネジメント、生産性向上プログラムの拡大、グローバル化による優位性の強化、そして事業ポートフォリオの改革を通じた収益性の向上を推進していきます。

財務戦略について

中期経営計画「NS Vision 2026」に沿って実行

当社グループの資本構成で、大きな変更の計画はありません。過去数年間、私たちの資本と人財の配分は一貫した考え方で進めています。投資案件は、当社グループ内でグローバルに評価、優先順位が付けられ、より収益の高い案件が優先されます。人財は、成長、事業機会、戦略的な取り組み、特定の狙いに基づいて、事業全体に最適に割り当てられています。当社グループの配当は、年平均成長率14%で9年連続増加しました。今後も安定的な増配を継続し、配当性向は20~30%の範囲を維持する予定です。負債が削減され、調整後ネットD/Eレシオが改善されれば、ゆくゆくは配当性向を高めていきたいと考えています。

経営成績について

収益よりも利益率の拡大と利益の質に重点を置く

不安定なエネルギー情勢、貿易及び地政学的な緊張、エレクトロニクスの減速、景気後退の圧力、インフレの悪化、労働市場のひっ迫、金利上昇傾向といった厳しい事業環境のなか、為替の影響と日本での連結子会社の非連結化(影響額見込み:330億円)を除くと、2024年3月期では、当社グループの売上収益は前期比で約3%増加すると予想しています。為替による影響を除くコア営業利益は約21%増加すると予想しています。 私たちの目標は、マージン拡大の取り組みを促進し、売上よりも利益を伸ばすことです。

財政状態について

財務健全化にむけて、負債を計画的に返済

2024年3月期の調整後ネットD/Eレシオは、第2四半期時点の予想では、0.81倍を維持できる見込みです。これは、年内にハイブリッド負債の一部を一般の負債に転換することを織り込んでいるためです。資本の性質と負債の性質を50%ずつ持つハイブリッド負債の一般的な負債への借り換えは調整後ネットD/Eレシオを押し上げます。2023年3月末の財政状態計算書の数値を適用すると、この転換の影響は約11bps(ベーシス・ポイント)となるため、転換がなければ、当社グループの調整後ネットD/Eレシオは、2023年3月期よりも約11bps改善することになります。

キャッシュ・フローについて

事業から生み出す営業キャッシュ・フローを適切に配分

中期経営計画「NS Vision 2026」の4年間で累計7,300億円の営業キャッシュ・フローを創出することを目標としています。創出される営業キャッシュ・フローの60%は、設備投資や買収を通じて、事業に再投資する見込みです。設備投資は、約45%を通常の維持更新投資に、残りの55%は主に成長投資と戦略投資に分割されます。創出される営業キャッシュ・フローの残りの40%は、ここ数年のアプローチと同様に、負債の削減と配当の支払いに充てる予定です。

資本効率について

中期経営計画「NS Vision 2026」で掲げた目標に向かって順調に進行

ROCE after Tax(税引き後使用資本利益率)は、前期比で60bps改善し、2023年3月期では5.4%となりました。 「2026年3月期に6%超」という中計目標に向かって順調に進んでいます。ROCE をさらに改善するために進行中の施策は、「財務及び経済的リターンをもたらすプロジェクトの実行」「価格マネジメント」「生産性向 上プログラム」「グローバル化」です。さらには、収益性の向上を達成するために事業ポートフォリオを再編する、ないしは、収益性が低く当社グループには戦略的に符合しない事業から撤退することも視野に入れ、グループ全体の収益性向上に今後も注力します。

株主還元について

年平均成長率14%で9年連続増加

配当は、前期比で4円増配し、2023年3月期では40円(配当性向 22.5%)となりました。財務健全化、成長投資、株主還元のバランスを考えながら、今後も安定的な増配を継続し、配当性向は20~30%の範囲を維持する予定です。キャピタルゲインを含む株主総利回り(TSR:Total Shareholder Return)では、2013年4月1日から2023年3月31日までの10年間で354.1%であり、同業他社を含む業界平均である251.7%を上回りました。

常務執行役員 財務・経理室長 兼 CFO
アラン・デビッド・ドレイパー