CFOメッセージ

中期経営計画の5つの重点戦略に引き続き全力で取り組み、持続的に収益性を向上させていきます。堅牢なプロジェクトパイプライン、規律ある価格管理、生産性向上の加速、グローバル化のメリットの最大化、そして洗練された事業ポートフォリオの最適化により、より強固な財務実績と長期的な株主価値の創造を目指します。

財務戦略について

中期経営計画「NS Vision 2026」に沿って実行

当社の資本および人的資本の配分に対するアプローチは、引き続き長期の戦略的成長に重点を置いています。投資決定は、プロジェクトの収益が資本コストを上回ることの重要性を理解した上で、グローバルに行われます。人財は、事業の拡大、戦略的な取組み、新たな機会をサポートするために、事業全体に動的に割り当てられ、配置されています。

当社は11年連続で配当を着実に増加させており、過去10年間で約14%の年平均成長率を達成しています。当社は長期にわたる継続的な配当増加を目指し、配当性向は20~30%を目標としており、株主還元に対する取組みを強力に進めています。負債を削減し、調整後ネットD/Eレシオを強化することで、配当性向は上昇傾向になると予想しています。

経営成績について

売上収益よりも利益率の拡大と利益の質を優先

2026年3月期は、ミクロレベルとマクロレベルの両方で課題が予想されるものの、NSHDは規律ある財務執行に引き続き取り組んでいきます。為替の影響を除いて、当社グループの売上収益は前期比1.6%増加、同じく為替の影響を除いたコア営業利益は4.3%増加する見込です。 私たちの戦略的優先事項は、利益の伸びが売上高の伸びを上回り、マージン拡大と長期的な財務のレジリエンスへの取組みを強化することです。

財政状態について

財務的安定性を強化するため、負債を計画的に返済

当社は計画的な債務返済を継続しており、財務健全性に対するコミットメントは堅固です。2025年5月23日(2025年3月期 通期決算説明会)にお伝えしたとおり、調整後ネットD/Eレシオは0.77倍になると予想しています。これは、中期経営計画 NS Vision 2026 の目標である0.7倍以下に達していませんが、長期的な成長を促進するための戦略的投資が反映されています。

この予測には、当初中期経営計画に含まれていなかった2024年12月に発表された2つの機を捉えた買収案件を織り込んでいます。規制当局の承認が得られれば、一時的にD/Eレシオに影響を与えます。しかし、買収関連の影響や為替変動要素を除けば、規律的な財務管理によって、指標は改善傾向を維持しています。

キャッシュ・フローについて

事業から生み出す営業キャッシュ・フローを適切に配分

中期経営計画「NS Vision 2026」では、4年間で累計7,300億円の営業キャッシュ・フローを創出することを目標としています。この資金の60%は、設備投資や買収を通じて事業に再投資し、残りの40%は負債の削減と配当の支払いに充てる予定です。

規律ある業務遂行、生産性向上、そして効果的な運転資本管理により、当社の営業キャッシュ・フローは2025年3月期までの当初予測を上回りました。この強固な財務状況により、M&A活動やハイブリッドファイナンスの早期借り換えなどの機会を活用しながら、株主への配当を着実に増加させることが出来ました。

 

 

資本効率について

中期経営計画「NS Vision 2026」で掲げた目標に向かって順調に進行

ROCE after Tax(税引き後使用資本利益率)は改善を続け、2025年3月期では7.2%と、前年比で50bps増加しました。 「2026年3月期に6%超」という中計目標をすでに達成しており、継続的な戦略的取組みを通じて、さらなる収益強化に注力していきます。ROCE をさらに改善するために進行中の主要なアクションには、「強力な財務及び経済的リターンをもたらす堅実なプロジェクトパイプラインの維持」「好機を捉えたM&A」「価格マネジメントの最適化」「生産性向上プログラムの拡張」「グローバル化の取組みの推進」が含まれます。

投資決定は、それぞれの国または地域において、当社の資本コストよりも高く設定されたハードルレートを各プロジェクトが確実に超えるよう慎重に評価し、定期的にレビューを行うことで財務規律を維持しています。当社は、収益性の高い事業機会を優先するとともに、収益性を高めるために事業ポートフォリオを再編する、または、当社グループと戦略的に整合しなくなった事業を継続的に改善していきます。 


 

株主還元について

11年連続、年平均成長率14%の増配を達成

2025年3月期の配当額は前期比7円増の51円となり、配当性向は22.3%でした。過去10年間、当社は年平均成長率 約14%の増配を達成し、長期的な株主価値向上への取組みを強化しました。当社は、引き続き株主還元の強化に注力し、財務安定性の維持、負債削減、成長への投資、バランスの取れた資本配分を確保しながら、配当性向20~30%を目標に、着実な増配を継続していく予定です。

常務執行役員  兼 CFO
アラン・デビッド・ドレイパー