8つの非財務プログラムをスタート
新しいマテリアリティでは、「人権の尊重」「保安安全」「企業倫理」の3つを企業存立の前提条件とし、24の重要課題を特定しました。特定した重要課題に対して、当社グループ全体で取り組む8つの非財務プログラムを策定しました。
非財務プログラム一覧
非財務プログラム |
取り組み内容 |
E |
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- 当社グループのGHG排出量の削減
- 環境貢献製商品による顧客のGHG削減
- 廃棄物の排出削減
- 水資源の有効利用
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S |
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- 休業災害度数率の低減など
- 商品クレーム件数の削減など
- 多様な人財活用の推進
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G |
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Carbon Neutral ProgramⅠ当社グループのGHG排出量の削減
2050年カーボンニュートラルをめざす
技術的ブレークスルーでカーボンニュートラル実現へ
当社グループは、2050年カーボンニュートラルをめざすと共に、GHG排出量を2026年3月期18%、2031年3月期32%削減に取り組みます。この目標達成に向けた主な取り組みは、以下に示すように空気分離装置のリプレースやグリーン電力証書の購入、再生可能エネルギーの導入などになります。
省エネのさらなる推進・
エネルギー利用効率の向上
- 空気分離装置のリプレース
- デジタルソリューション技術による電力使用量の削減
- 物流効率化、配送の見直し
再生可能エネルギーの利用促進と
電力のグリーン化
- 排出係数の低い電力会社への移行
- グリーン電力証書の購入
- 再生可能エネルギーの導入
CO2回収とカーボンオフセット
- CO2の回収推進
- 新技術や森林保全・植林活動などによるカーボンオフセット
GHG(Greenhouse gas:温室効果ガス)排出量削減目標
2026年3月期:18%削減 2031年3月期:32%削減(2019年3月期比)
Carbon Neutral Program Ⅱ環境貢献製商品による顧客のGHG削減
NSHDグループの製品・サービスを通じて
GHG排出量を上回るGHG削減量をめざす
当社グループでは、当社の製商品・サービスを通じて、お客様におけるGHG排出量の削減に貢献しております。GHG削減貢献量の目標としては、「当社グループが排出するGHG排出量を上回るGHG削減貢献量を実現すること」としています。
現在開発中の環境貢献製商品
- 高炉酸素富化燃焼によるGHG削減貢献
- 工業炉におけるH2、NH3燃焼によるGHG削減貢献
- CO2回収・再利用によるGHG削減貢献
(環境貢献製商品によるGHG削減貢献量) > (当社グループのGHG排出量)(2026年3月期)
当社グループの製品・技術を通じて世界のGHG削減への貢献を推進する
Zero Waste Program廃棄物の排出削減
事業会社毎に地域・事業の実情を踏まえKPIを設定し、
排出量削減と資源循環の構築をめざす
廃棄物処理の3Rの推進は時代の要請であり、廃棄物等排出量の削減、埋立処分量の削減に向けて事業会社毎にKPIを定め、取り組んでおります。例えば、日本セグメントでは、FYE2022からHALD(Halve Amount of
Landfill
Disposal)と名付けた取り組みをスタートし、2026年3月期までに大陽日酸グループが排出する産業廃棄物の埋立処分量を半減させる目標に取り組んでいます。廃棄する高圧ガス容器の有価売却やリサイクル・分別廃棄の徹底などにより、グラフの通り、現在のところ目標達成に向けて順調に推移しております。
Sustainable Water Program水資源の有効活用
事業会社毎に地域・事業の実情を踏まえ、
KPIを設定し、水資源の保全をめざす
当社グループでは、限りある水資源を有効活用するために、事業会社毎にKPIを定め、取水量の削減などに取り組んでおります。また、世界資源研究所(WRI)が開発した水リスク評価ツール「Aqueduct」による水ストレス調査を実施し、高リスク地域にある生産工場(ASU、HyCO事業所)の洗い出しを行っております。高リスク地域の生産工場では、水循環量を増加する等、取水量、消費量の削減に取り組でおります。
水ストレスレベル調査結果
日本酸素HDグループでは、水資源の利用に関するリスクを把握し、より効果的な水リスクへの対応につなげるため、全生産拠点を対象に水ストレスレベルに関する調査を実施しています。世界資源研究所(WRI)が開発した水リスク評価ツール「Aqueduct」を用いて、121拠点の水ストレスを調査した結果は以下の通りです。
水リスクの類型:ベースラインの水ストレス
上段:水使用量(千m3)、下段:生産拠点数
|
高 |
高~中 |
中 |
中~低 |
低 |
日本 |
0 |
0 |
1,474 |
1,407 |
46 |
[0/20] |
[0/20] |
[8/20] |
[11/20] |
[1/20] |
米国 |
997 |
2,028 |
1,979 |
820 |
2,123 |
[6/49] |
[11/49] |
[9/49] |
[8/49] |
[15/49] |
欧州 |
3,816 |
0 |
6,013 |
0 |
15,859 |
[8/30] |
[0/30] |
[8/30] |
[0/30] |
[14/30] |
アジア
オセアニア |
906 |
68 |
266 |
517 |
1,580 |
[7/20] |
[1/20] |
[2/20] |
[6/20] |
[4/20] |
サーモス |
0 |
0 |
48 |
0 |
120 |
[0/2] |
[0/2] |
[1/2] |
[0/2] |
[1/2] |
全体 |
5,719 |
2,096 |
9,780 |
2,744 |
19,728 |
[21/121] |
[12/121] |
[28/121] |
[25/121] |
[35/121] |
- 2024年3月期のデータ
- 水リスク評価ツール「Aqueduct」を用いて水ストレス調査を実施
- 集計範囲:年間の取水量20千m3以上でASU、HyCOまたはLCO2を設置している生産拠点及びサーモス
Safety First Program安全文化の醸成
保安で産業ガス業界のグローバルリーダーをめざす
さまざまな高圧ガスを取り扱う当社グループにとって安全は企業存立の基盤をなすものであり、「ガスを売ることは安全を売ること」の精神に則り、保安をより一層推進することで、安全・安定供給の継続に努めます。グループKPIとして、「休業災害度数率(労働時間100万時間当たりの休業災害の発生件数)」を1.6*以下と定め、保安のグローバルリーダーをめざします。
*2017年3月期~2021年3月期の平均値(2.53)の40%程度削減を目標
達成のための具体策
- 事故・労災情報及びベストプラクティスの共有
- スマート保安(DX、AI、IoT)の利用による保安力の向上
- 安全教育の充実・テクニカルアカデミーの活用(安全文化の醸成と危険感受性向上)
- 安全投資の促進
例えば、大陽日酸では休業災害度数率以外の保安の取組みとして、以下の項目に取り組んでいます。
- 労働災害率の低減
- 製品輸送車両事故率の低減
- 設備事故件数の削減
- CCPS評価
当期の休業災害度数率は、大陽日酸で0.77へ減少したものの、他の事業会社で増加傾向となったことを受け、日本酸素HDグループ全体で2.09へ増加しましたが、中長期的に見ると減少基調にあります。
休業災害度数率については、上記取組みにより、目標値をクリアするレベルへ改善が進んでいます。
Quality Reliability Program品質・信頼性の向上をめざした取り組み
品質重視の企業意識を徹底し、当社グループが提供する製品の品質・信頼性を向上
さまざまな産業を下支えする製品を安定的に供給するからこそ、品質が揺らいではならない。また、目に見ることのできないガスだからこそ、信頼できるものでなければならないと考えます。お客さまとの大切な約束を守るという品質を重視する文化を浸透させ、従業員の更なる意識改革を進めると共に、LIMS等自動化技術の導入を促進し、品質・信頼性を向上させるため、様々な取り組みを順次実施しています。2023年度は、NSHDグループの電子材料ガス製造会社で構成する品質委員会(SSG-QC)活動において、顧客満足度向上のためのベストプラクティスの共有や課題解決の検討を行っています。また、大陽日酸グループでは、電子材料特殊ガス工場において分析データの自動転送化の措置を実施、液生産工場において品質管理自動化設備の導入を推進しています。さらに、2022年度より開始したNSHDグループ全体で実施する品質監査プログラム*を継続しています。
*NSHDが設定した「重要監査項目」により、各事業会社において、対象事業所の品質監査を3年周期で実施します。
●品質重視文化の浸透、従業員の更なる意識改革
- 品質倫理・コンプライアンス教育の徹底
- 品質監査プログラムの実施
- 品質クレーム情報の共有、是正・改善処置の水平展開
●LIMS等自動化技術の導入促進
●電子材料ガスの顧客満足度向上
- 電子材料ガスの品質委員会(SSG-QC)活動による顧客満足度向上の取組み
Talent Diversity Program人財の多様化とエンゲージメントの向上
持続可能な成長のための人財育成戦略
当社グループは、持続可能な成長に向け、多様な才能、文化、価値観を積極的に受け入れ、広範な視点と創造性を持つThe Gas Professionalsを育成していきたいと考えます。
女性活躍にはKPIを定めてグループ全体で、推進スピードの向上を図りながら、重点的に取り組んでおります。また、異なるバックグラウンドを持つ社員が共に学び、成長し、視野を広げるための地域を超えた人財交流を推進します。
【KPI達成のための主な取組み】
- 日本/
・女性活躍推進プロジェクトからダイバーシティ&インクルージョン推進室へ
・ダイバーシティ&インクルージョン推進のため、”大陽日酸 ダイバーシティ&インクルージョン宣言”を策定
- 米国/リクルートマーケティング活動の強化
- 欧州/WING (Women’s Ikigai Nippon Gases)プロジェクト(女性中心のイベント・研修、女性の存在意義を促す、女性従業員で構成された人財ネットワーク)
- アジアオセアニア/Unity in Diversityプログラム推進
(異文化理解、女性活躍促進を促す啓発活動)
【人財交流推進の取組み】
- 地域を超えたタスク別グローバルチームの設立(例:カーボンニュートラル推進プロジェクト)
- 各事業会社と双方向の駐在実現に向けたプログラムの構想
女性従業員比率 |
2026年3月期≧22% |
2031年3月期≧25% |
女性管理職比率 |
2026年3月期≧18% |
2031年3月期≧22% |
Compliance Penetration Programコンプライアンスの浸透と徹底
各地域でコンプライアンス研修を実施し、当社グループのコンプライアンスの浸透と徹底をめざす
当社グループは、企業存立の前提条件と位置付ける「人権の尊重」「保安安全」「企業倫理」の徹底に向け、コンプライアンスに関する意識の浸透と正しい知識の習得に向けたさまざまなコンプライアンストレーニングを各事業会社で実施しています。コンプライアンストレーニングをすべての社員に確実に行き渡らせることが、コンプライアンス確立の基礎であるという共通認識の下で、中期経営計画の非財務KPIの一つとして、「コンプライアンス研修受講率」100%*を設定しています。
*各地域が全従業員への受講を義務付けた「主要な研修」を対象としています。
コンプライアンス研修実績(2024年3月期)
99.4%(2024年6月末時点で
100%受講済み)
各地域 |
主要な研修と主なテーマ |
日本 |
コンプライアンスとは、ハラスメントの禁止、人権の尊重、独占禁止法の遵守、内部通報 |
北米 |
行動規範、従業員のコアコンピテンシー(職場での倫理とコンプライアンスへの取組み)、ハラスメントの防止 |
欧州 |
行動規範 |
東南アジア・インド |
行動規範、コンプライアンスとは、贈収賄・汚職防止、内部通報 |
東アジア |
行動規範、職場におけるハラスメント、利益相反、腐敗防止、個人情報保護、内部通報 |
豪州 |
行動規範、不正に対する意識、職場におけるいじめ、嫌がらせ、差別 |
台湾 |
行動規範、尊重された職場を確保するために(ハラスメント)、個人情報保護 |
コンプライアンス研修受講率:100%(2026年3月期)