サステナビリティトピックス(環境)

日本酸素ホールディングスグループは、革新的なガスソリューションにより社会に新たな価値を提供し、あらゆる産業の発展に貢献するとともに、人と社会と地球の心地よい未来の実現をめざしています。こうした想いを社員全員が共通認識として理解するグループビジョンに込め、グループ一丸となってサステナビリティ経営を推進しています。

サステナビリティの取り組みは、グローバル各地で多岐にわたり展開しており、人、社会、そして地球の課題解決に貢献していくことが、社会価値と経済価値を同時に向上させるとともに、当社グループの企業価値の向上にもつながっていくと考えています。

環境米国DAC プラント向け酸素供給契約を締結

Matheson Tri-Gas, Inc.は、空気中からCO2を直接回収する DAC*(Direct Air Capture、直接空気回収)事業を推進する 1PointFive 社(読み「ワンポイントファイブ」)と酸素供給契約を締結し、同社がテキサス州に初めて建設する DAC プラントに酸素を供給します。
酸素はDAC工程で使用されDAC工程で生成されたCO2は貯留層に安全に隔離されます。当DACプラントは、2025年半ばに操業を開始し、世界最大規模である年間50万トンのCO2を回収できる見込みです。当社グループは、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、対象となりうるお客様やプロジェクトを積極的に探索するとともに、十分に精査をしながら、事業の拡大を進めていきます。

*DAC(Direct Air Capture、直接空気回収):今回 1PointFive 社が活用するのは、カナダの Carbon Engineering of Canada 社が開発した、水酸化カリウム(KOH)溶液を用いて空気中のCO2を吸収する技術です。

DAC プラント向け酸素供給契約を締結

環境日本10トン/日規模のCO2回収装置を販売開始
カーボンニュートラル社会の実現に貢献

大陽日酸は、石灰製造炉などの高濃度二酸化炭素(CO2)排出源から98%以上の濃度でCO2を回収可能なPSA(Pressure Swing Adsorption)方式のCO2回収装置を開発・商品化し、販売を開始しました。カーボンニュートラルへの取り組みに対して、当社はこれまで培ってきたガス分離精製技術を活かし、CO2回収装置の開発を進めてまいりました。CO2回収装置はCO2を回収し、高濃度化したCO2を炭酸塩等の原料やメタネーションに利用することができます。今後も当社は、これまで培ってきたガス・液化CO2製造供給技術にCO2回収装置を組合せ、ガス供給網を活用したCO2の回収から利用まで様々な形でカーボンニュートラル社会の実現に貢献していきます。

CO2回収装置外観(イメージ)

環境米国世界環境デーを祝福

世界環境デーにちなみ、Matheson Tri-Gas, Inc (MATHESON)とL&TエナジーはNumaligarh Refinery Limited(NRL)と共同で、インドで計画されている水素施設の建設現場に植樹を行い、この特別な日を祝いました。MATHESONは、2022年12月にインド政府の関連会社であるNRLから20年間の水素と副生蒸気の供給を受注しました。このプラントで生成される水素と副生蒸気は、極めて戦略的なヌマリガル製油所拡張プロジェクト(NREP)とインド政府の北東部開発構想において重要な役割を果たします。私たちは、この先見的な試みの一員となることを光栄に思います。
世界環境デーを迎えるにあたり、私たちは成長を促進し、よりクリーンなエネルギーとカーボンニュートラルな社会の実現に貢献する機会を地球規模で探求していきます。

植樹イベントの様子

環境欧州グリーン水素製造プロジェクトに参画

Nippon Gases Euro-Holding(NGE)のベルギー事業会社であるNippon Gases BelgiumとTerranova、Luminusの3 社で合弁会社を設立し、ベルギーのゼルザーテでグリーン水素製造プラントを建設、運営します。 グリーン水素はゼルザーテのTerranovaの拠点において、太陽光発電や陸上風力発電によるグリーン電力を使って製造されます。製造開始は 2025 年初頭を予定しています。NGEは、このプロジェクトにおいて生産されるグリーン水素を既存の顧客に販売するとともに、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、エネルギー転換需要などの新たなグリーン水素需要も捉えていきます。
グリーン水素製造プロジェクトに参画

環境欧州グリーン電力の積極的活用

Nippon Gases Euro-Holding(NGE)の空気分離装置は、電力供給会社から原産地保証(GO)証明書を購入することで、認証された再生可能エネルギーを使用した工業ガスを製造することができます。NGEは、このようなGO証書や、PPA(電力購入契約)による再生可能エネルギーの専用契約を通じて、再生可能エネルギー量を増やす戦略を開始し、グリーン電力を用いた製品を提供しています。欧州の発電による温室効果ガス排出係数は442.66g-CO2/kWh(EAM2021)である一方、NGEの平均排出量は325g-CO2/kWhとなっています。
グリーン電力の積極的活用

環境世界太陽光発電導入実績

日本酸素ホールディングスグループでは、カーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組みの一環として、太陽光発電設備を積極的に導入し、電力の一部を太陽光発電による再生可能エネルギーへ切り替えています。右表は、近年太陽光発電設備を導入した事業所を示しております。今後も太陽光発電設備を設置することにより、電力のグリーン化に取り組み、電力消費による間接的なCO2排出量抑制を進めることで地球環境の改善に貢献していきます。

近年の導入事例 地域
TNSCグループ4拠点 日本
Matheson Alizona 米国
Supages23支店 オーストラリア
NGE6拠点 ドイツ

環境日本重水素化アンモニア 日本初の量産体制構築

大陽日酸は、アンモニア(NH3)の水素を重水素(D)で置換した、重水素化アンモニア(高圧ガス)の製造販売を開始しました。半導体利用、化学反応原料、分析などに利用されてきた重水素化アンモニアは、これまでは日本の需要に対し、海外からの輸入に頼ってきました。当社独自技術により、日本で初めての量産体制となる高純度、高重水素化率の製品を製造可能なプロセス構築に成功し、高まるグローバルでの需要に対する供給体制を整えました。今後の需要拡大に向けて、増産を進めていきます。

シリンダー及びキャビネット外観写真

環境欧州バイオメタンの製造への貢献

Nippon Gases Euro-Holding (NGE)の高効率酸素溶解技術は、生物学的水処理プラントにおけるエアレーターのような従来の酸素供給方法と比較して、電気エネルギーが削減できます。このソリューションにより、何百万立方メートルの廃水が処理され、水源に放流されるかリサイクルされ、常に環境基準を満たします。廃水処理場からの汚泥、食品産業からの有機廃棄物、廃棄物埋立地からの廃棄物はバイオガスに変換され、バイオメタンと「バイオCO2」を生産します。バイオメタンは、BioLNGやBioCNGとして化石燃料の代わりに自動車・フォークリフト用途として、バイオCO2はさまざまな用途に利用されています。
バイオメタンの製造への貢献

環境日本微細藻類ベンチャー「株式会社アルガルバイオ」への出資、ならびに提携

アルガルバイオ社はユニークな藻類株、育種、量産培養を併せた世界屈指の技術基盤と開発環境を有する微細藻類ベンチャーです。微細藻類は豊富なタンパク質やビタミン、アミノ酸を含んでおり栄養補助食品として親しまれているのみならず、窒素やリンを吸収し水質浄化にも役立てられています。藻類は CO2 を原料に有用な化合物を産生するため、カーボンニュートラル事業へと直結する可能性が大きい分野です。大陽日酸はアルガルバイオ社への出資と事業提携により、両社の研究開発の促進、微細藻類の大量培養技術の確立などに尽力し、サステナブル社会への取組みを推進いたします。
微細藻類ベンチャー「株式会社アルガルバイオ」への出資、ならびに提携

環境日本5社協働によるマイボトルの利用促進に関する
共同実証実験を実施

サーモスは、2022年4月18日より約1カ月間、5社協働によるマイボトル利用促進に関する共同実証実験を行いました。協働した5社(括弧内はその役割・提供リソース)は、サーモス(マイボトル)、東京建物様(実証実験フィールド、参加者約300名)、パナソニック様(マイボトル専用自動洗浄機)、アペックス様(マイボトル対応コーヒーマシン)、味の素 AGF 様(コーヒー豆)です。同実施期間中、紙コップの廃棄量はほぼゼロを達成し、参加者の環境に対する意識の向上がみられました。マイボトルの機能性や利便性も高く評価され、引き続き利用したいという意見が多く得られました。
5社協働によるマイボトルの利用促進に関する 共同実証実験を実施

環境日本「使用済みステンレス製魔法びん」回収サービスを開始

サーモスは、使用済みステンレス製魔法びんの回収サービスをサーモス スタイリングストア関東3店舗(二子玉川ライズ店、マークイズみなとみらい店、テラスモール湘南店)で開始しました。回収した使用済みステンレス製魔法びんは、リサイクル事業を展開するリバー株式会社様にて破砕・選別などの処理を行い、再生材としてさまざまな製品の素材に再利用されます。また、サーモス社内及びグループ会社である大陽日酸本社においてもリサイクルボックスを設置し、使用済み製品の回収に努めています。今後状況を確認しながら、回収拠点を順次拡大していく予定です。
「使用済みステンレス製魔法びん」回収サービスを開始

環境日本工業炉における燃料アンモニアの燃焼技術の開発

大陽日酸は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「燃料アンモニアの燃焼技術開発」の委託先に選定されています。これは利用技術が確立できていない工業炉において、アンモニアの燃焼技術を開発し、産業分野での脱炭素化に貢献することが目的です。大陽日酸は、これまでガラス溶融炉向け酸素バーナーをはじめ、国内外のさまざまな工業炉に対する導入実績を有しています。本委託事業の事業期間は2021年度から2025年度までの5年間で、アンモニア̶酸素燃焼/酸素富化燃焼技術の開発を進めています。
工業炉における燃料アンモニアの燃焼技術の開発

環境日本カーボンフリー燃料での球状シリカ製造技術を共同開発

球状シリカは半導体封止材料として用いられ、近年の半導体の使用領域拡大とともに、その品質に対する要求が高まっています。従来手法では、化石燃料に起因するカーボンが混入するリスクがあり、絶縁阻害による半導体の信頼性を低下させてしまいます。そこで、2022年2月に大陽日酸は、球状シリカメーカーである株式会社アドマテックスとともに、カーボンが発生しないアンモニア̶酸素燃焼を用いることで、不純物となるカーボンを含まない、高品質な球状シリカの製造が可能な溶融・球状化技術を開発しました。
カーボンフリー燃料での球状シリカ製造技術を共同開発

環境日本CO2排出量を大幅削減する水素-酸素バーナーによるガラス溶融に成功

2022年4月、大陽日酸は日本電気硝子株式会社と共同開発した水素̶酸素バーナーを用いて、水素100%燃焼によるガラス溶融の実証実験に成功しました。開発した水素̶酸素バーナーは、天然ガスと水素の混合比率を適宜切り替えることが可能です。実証実験では燃料に水素を100%用いた燃焼、天然ガスと水素を混合した燃焼のいずれの方法でも天然ガスを100%用いた燃焼と同等の溶融能力を得られることが確認できました。これにより溶融炉から排出されるCO2の大幅削減が可能となります。
CO 2 排出量を大幅削減する水素-酸素バーナーによるガラス溶融に成功

環境日本高効率酸素利用システム「SCOPE-Jet® SCAN」

大陽日酸は、炉内温度を効率的に上昇させることができる酸素バーナの開発に取り組んでいます。当社の製品ラインアップの一つである「SCOPE-Jet®」は、大量の電力を消費する電気炉製鋼向けに、酸素を用いた高温の火炎を用いることで、電力原単位の削減や生産性を向上(時間短縮)するために開発されたバーナです。2021年3月、大陽日酸は新たに「SCOPE-Jet® SCAN」を開発しました。本製品は酸素アプリケーション(ガス利用機器・技術)とレーザー式ガス分析装置を組み合わせ、リアルタイムの分析値を基に酸素、燃料、カーボンの供給量を制御することで、酸素利用効率を高めることができ、CO2排出量の削減も期待できます。今後も電気炉を中心に導入を図り、さらなる応用展開を進めていきます。
高効率酸素利用システム「SCOPE-Jet® SCAN」

環境欧州鉄鋼業界の脱炭素に向けてNippon Gases Euro-HoldingがSarralleと業務提携

2021年12月、Nippon Gases Euro-Holding(以下、NGE)は水素バーナなどに関わるエンジニアリングサービスの提供において、Sarralleとの業務提携を発表しました。同社はスペインに本拠を置く、鉄鋼分野などのエンジニアリング業のリーディングカンパニーで、今般の業務提携によりNGEはバーナ技術を提供し、同社はエンドユーザーへの導入を手がけていきます。水素バーナは、天然ガスに代わるエネルギー源として水素を活用するもので、産業の脱炭素化を達成するための重要な要素と考えられています。また、鉄鋼業界だけでなくその他の産業における水素バーナや他の産業ガスの利用を促進するため、ガス利用技術の提供も含め、同社と協力し、プロジェクトを進めていきます。
鉄鋼業界の脱炭素に向けてNippon Gases Euro-HoldingがSarralleと業務提携

環境欧州Nippon Gases Euro-Holdingの液化炭酸ガス運搬船

Nippon Gases Euro-Holdingの炭酸ガス事業は、欧州市場の19%を占め、同地域では第2位の規模を誇ります。12基の炭酸ガスプラントを所有し、それらの生産拠点を各地の市場につなげるのが3隻の炭酸ガス運搬船。1回の航海で1,200~1,800tの液化炭酸ガスを輸送することができ、年間30万tを輸送しています。また、貯蔵タンクやプラントのメンテナンス期間には海上の貯蔵タンクとしても運用されます。今後も欧州全体を俯瞰して消費動向の現状と今後のニーズを的確に把握し、必要とされている国に製品(炭酸ガス)を供給していきます。
Nippon Gases Euro-Holdingの液化炭酸ガス運搬船

環境日本実証試験のためのCO2液化設備を設置

大陽日酸は、NEDOの「炭素循環型セメント製造プロセス技術開発」において、太平洋セメント株式会社とCO2液化工程で協力し、2022年2月、同社熊谷工場にCO2液化設備を設置しました。セメントの製造工程で排出されるCO2を再資源化し、セメント原料や土木資材として再利用します。大陽日酸はセメントキルン排ガスからCO2分離・回収実証試験において、回収されたCO2を液化する一連の工程についても技術協力を行いました。
実証試験のためのCO 2 液化設備を設置

環境日本発電所から回収したCO2の有効利用に向けた実証を開始

日本液炭株式会社は、電源開発株式会社及び中国電力株式会社、両社が共同で設立した大崎クールジェン株式会社、世羅菜園株式会社と共同で、石炭火力発電所から回収したCO2を有効利用する実証試験に取り組んでいます。本実証試験は、石炭ガス化複合発電(IGCC)とCO2分離・回収を組み合わせた革新的低炭素石炭火力発電の実現をめざしている大崎クールジェン株式会社のIGCCにおいて回収したCO2を液化、移送し、トマト温室での光合成を促すためにこれまで利用していたCO2と置き換えて活用します。本実証試験によりCO2の有効利用の可能性を追求することで、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していきます。
発電所から回収したCO 2 の有効利用に向けた実証を開始

環境米国排水処理におけるCO2活用

酸を用いたプロセスの代替として排水処理にCO2を活用しました。製薬会社のCSL Behring LLCは排水処理に硫酸を用いていましたが、強酸であることやその腐食性からさまざまな機器のトラブルを抱えていました。Matheson Tri-Gas, Inc.では同社の要請により、CO2を用いた排水処理システムを提案し、同社で試運転を実施しました。結果は期待をはるかに上回るもので、本格導入となり、その結果、上述の問題はすべて解消されて十分な排水処理性能を確保できました。
排水処理におけるCO 2 活用