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2020/03/12
ニュースリリース

ALD成膜プロセス向け高濃度H2O2ガス供給装置(Peroxidizer®)販売のお知らせ

 大陽日酸株式会社(社長 CEO:市原 裕史郎)と当社グループ会社のRASIRC Inc.(CEO:Jeffery SPIEGELMAN、本社:米国カリフォルニア州)は、高速で高品質な酸化膜ALD(Atomic Layer Deposition)プロセスを提供できる高濃度H2O2ガス供給装置(Peroxidizer®)を販売いたしますので、下記のとおりお知らせいたします。
 
 
1.背景
 近年、半導体デバイスの微細化・構造複雑化に伴い、膜厚制御性や段差被覆性の良い原子層堆積法(ALD:Atomic Layer Deposition)が広く活用されています。例えば、High-k絶縁膜用Al2O3層やダブルパターニング用TiO2層は、水蒸気やオゾンガスを酸化剤とするALD法で形成されています。しかし、これらのプロセスでは、成膜速度(GPC:Growth Per Cycle)が遅い、成膜温度を下げると膜質が劣化する、という課題があります。 この課題を解決するために、より効率的な酸化剤を使用することが考えられますが、酸化力が強い化合物として知られる過酸化水素は、一般的に30%水溶液の過酸化水素水として流通しているものの、一定濃度の過酸化水素蒸気として利用することは困難でした。
 
2.高濃度H2O2ガス供給装置(Peroxidizer®)の概要と成膜特性への効果
 2012年に米国の子会社Matheson Tri-Gas, Inc.を通じて過半数の株式を取得したRASIRC社は、膜分離を基盤とした超高純度精製技術を応用して独自開発した、高濃度H2O2ガス供給装置(Peroxidizer®) (※1)を製造・販売しています。本製品は、薬液エッチング等で使用される過酸化水素水溶液(30wt%)を原料とし、膜分離技術によって安全に気化・精製することで、最大50,000ppmの高濃度かつ高純度な過酸化水素ガスを供給できる装置です。過酸化水素ガス50,000ppmを供給する際のキャリアガス流量は最大5L/minであり、共存する水蒸気濃度は20%です。
 このたび、当社のALD実験設備で、Peroxidizer®を使用し、既存酸化剤(水蒸気およびオゾンガス)を使用する場合よりも、良質なAl2O3薄膜およびTiO2薄膜を高速成長させられることが実証できました。TiO2-ALDについては、基板温度175℃の場合において、成膜速度約0.1nm/cycle(O3使用時比2倍)、フッ酸溶液によるエッチング速度0.1nm/min(O3使用時比1/20倍)でした(※2)。
 
3.今後の予定
 今後、酸化膜ALD向けにPeroxidizer®の拡販を進めていきます。Al2O3-ALDの成果に関しては、2020年6月28日(日)~7月1日(水)にベルギーで開催される『20th International Conference on Atomic Layer Deposition (ALD 2020)』において発表いたします。

Peroxidizer®外観

(注)
※1)2019 年11月公開大陽日酸技報「高濃度過酸化水素ガス発生装置 - Peroxidizer®」
※2)2019年11月に広島で開催された、41st International Symposium on Dry Processのポスターセッションにて「A Comparative Study on the Oxidants for the Atomic Layer Deposition of Titanium Oxide Thin Films」を発表


 
本件に関するお問い合わせ
大陽日酸株式会社
東京都品川区小山1-3-26
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製品に関するお問い合わせ
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