グローバルエンゲージメントサーベイを通して社員の声に耳を傾け、継続的に人財関連施策の改善に取り組みます。
基本的な考え方
産業のインフラを担うガス事業、そして人々が日々触れる生活用品を扱うサーモス事業、いずれもそれを担う人財の土台として「誠実」さが最も重要です。「誠実」さは「人権尊重」「保安安全」「企業倫理」といった企業活動の根底を支えるものであり、これらなくしてお客さまや投資家をはじめ、すべてのステークホルダーからの信頼は得られません。2024年3月期においては、グローバルエンゲージメントサーベイにおいて初めて経年での比較が可能となり、グループ全体で見ると軒並み改善された結果となりました。あらゆる要因が影響した結果と考えられるものの、この1年間で社員それぞれが誠実な姿勢で自らのミッションに取り組み、相互に影響を与えあってより良いチームワークが発揮されたことも、こうした改善に寄与したものと考えています。
グループ行動規範に沿って企業の社会的な責任を果たす組織風土の下、グループ理念・ビジョンへの共感を通じた社員のさらなるエンゲージメント向上に取り組むことによって、当社グループは社会に対してさらなる貢献をできるものと考えています。
持続的成長のための人財育成戦略
当社グループは当社と各事業会社で構成されていますが、産業ガスは消費地立地の製品・事業特性があることから事業会社の自主性を尊重する形態を採っています。経営資源の最も重要な要素である人財の戦略も同様のアプローチを採ることで事業会社の活力が高められていますが、グループ全体で取り組むべき経営戦略を実現するために必要なグループ人財戦略に関しては、当社が事業会社に課題を共有して理解を得ながら一体となって取り組みを進めています。
ダイバーシティ推進に関しては、変化の激しい事業環境や労働市場などに対応して中長期的に当社グループがグローバルで成長していくためには多様な知識や経験、または思考を持つ人財の確保・育成が不可欠です。本中期経営計画「NS Vision 2026」(以下、中計)では特に女性活躍推進に焦点を当てて取り組んでおり、これまで取り組みが遅れていた日本地域でも2024年4月に本格的に組織・人員が強化されて矢継ぎ早に具体的な施策が展開されています。組織再編などの影響もあり、2026年3月期の数値目標達成に向けてやや厳しい地域もありますが、本中計期間には各地域の人財戦略に根付いた形として定着するよう連携して取り組みます。
社員エンゲージメントの向上に関しては、前述の通りグループ全体の参加率・スコアともに改善されました。しかし、重要なのは今後マネジメント側が今回の結果を分析して、職場環境を含む改善施策を立案して関係者と意見交換しながら実行していくことです。特にダイバーシティに関する質問への回答結果の一部には会社側の今後の施策立案に示唆を与えるものもあり、こうした社員の声に対して耳を傾けて継続的に改善に取り組みます。
最後に、グローバル人財の確保・育成です。今後の成長領域として期待するエレクトロニクス事業やカーボンニュートラル分野、そして年々脅威が増すITセキュリティ分野などに対してはグループ全体で人財交流に取り組み、グローバルに協働しなければ成長機会を取り逃しかねない、また脅威に対応することが難しい状況にあります。また、各地域で効果を上げている生産性向上の施策や、先進的な事例を相互に共有して優れた点に触れて学び合う機会となっているオペレーショナル・エクセレンス活動は、グローバルに継続していくことでより大きな効果を生むことが期待できます。さらに、持株会社である当社の各ファンクションは、各事業会社の地域・事業・人財を理解して連携することで、効果的なグループ全体戦略を提起し進めていくことができます。これらの機能を担うのがグローバルに活躍する意欲と能力のある人財であり、特に確保・育成が遅れている当社を含む日本地域における取り組みを促進していきます。
当社グループは、全世界に素晴らしい人財を抱えています。当社のビジョン・ミッションに深く共鳴し、中計達成に向け業務を遂行することで、人として成長し、社会・地球に貢献することにより、「The Gas Professionals」として、あるいはサーモスのプロとして、誇りを持って働いてもらえるよう、事業会社と一体となって環境整備に取り組んでいきます。
日本酸素ホールディングス株式会社
人事部長 高田 泰和