サステナビリティトピックス(環境)

日本酸素ホールディングスグループは、革新的なガスソリューションにより社会に新たな価値を提供し、あらゆる産業の発展に貢献するとともに、人と社会と地球の心地よい未来の実現をめざしています。こうした想いを社員全員が共通認識として理解するグループビジョンに込め、グループ一丸となってサステナビリティ経営を推進しています。

サステナビリティの取組みは、グローバル各地で多岐にわたり展開しており、人、社会、そして地球の課題解決に貢献していくことが、社会価値と経済価値を同時に向上させるとともに、当社グループの企業価値の向上にもつながっていくと考えています。

環境日本高純度 β 型酸化ガリウム結晶の高速成長を有機金属気相成長法で実現

大陽日酸および大陽日酸 ATIは、国立大学法人東京農工大学と共同で、電力制御・変換の高効率化に必須な次世代パワーデバイス用半導体結晶として注目されている β 型酸化ガリウム(β-Ga2O3)結晶の高純度結晶の高速成長をこれまで困難とされてきた有機金属気相成長(MOVPE)法で達成しました。独自の結晶成長炉内の反応解析結果に基づき、不純物である炭素の混入が無い高純度な β-Ga2O3を高速で成長できることを実証しました。この成果により、今後、省エネ社会実現に向けた β-Ga2O3パワーデバイスの量産技術の実用化が期待されます。

減圧ホットウォールMOVPE 装置(FR2000-OX)

環境日本国内企業初※1
重水の再濃縮装置を開発しサステナブルなリサイクル体制を構築

大陽日酸は、これまで廃棄していた使用済み重水を再濃縮する装置を開発し、重水のリサイクル体制をつくば開発センター内に構築しました。重水は水素の安定同位体である重水素を多く含む水で、原子力分野や NMR 分析用溶媒などの研究分野をはじめ、様々な領域で使用されていますが、国内需要に対し全量を海外からの輸入に頼っており、海外の需給状況や製造国の輸出政策の影響を受けやすく安定調達が容易ではない物質です。重水再濃縮の商業化は国内企業としては初となります。本リサイクル体制の活用により重水素標識化合物*2向けの重水の一部が社内調達可能となるとともに、廃棄重水量は従来当社比で半減する見込みです。今後は本再濃縮装置の安定稼働継続を図るとともに、社外の重水再利用ニーズの探索や需要に応じた増産方法について検討を進めます。
(注)
※1当社調べによる 
※2重水素標識化合物:化合物内の水素原子の一部または全てを重水素(D)に置換した化合物の総称

環境アジア・オセアニアNippon Sanso Vietnamのベトナム北部地域で初となる充填所がオープン

Nippon Sanso Vietnam(NSVN)は、ベトナム北部地域ではNSVN初となる充填所を開所しました。窒素、アルゴン、混合ガス(最大5種類)それぞれで、最大1,920本/月の充填能力を誇ります。また、六フッ化硫黄(SF6)の代替となる安全で環境に優しいMGシールドガスを充填できるベトナム唯一の充填所です。充填所の設備は最大30MPaGで、業界をリードする充填圧力を有しているため、より効率的なガスの貯蔵と輸送が可能であり、さまざまな業界のお客様にメリットを提供できます。NSVNは引き続き、信頼性の高い高品質なガスソリューションを提供することで、ベトナム北部の産業の成長と発展をサポートしてまいります。

充填所の外観

環境日本大陽日酸JFP三重工場の使用電力全量をCO2フリー電力に切替え

大陽日酸 JFPは、半導体材料ガスを製造している三重工場(三重県伊賀市)の使用電力全量を 2024 年5月1日から、中部電力ミライズ株式会社が供給する、CO2フリー電力*に切り替えます。この切り替えにより、1年間の電力使用量に対するCO2発生量は 2022 年度実績比で約 1,800 トン削減されます。また、2025 年春を目途に三重工場敷地内にソーラーカーポート(太陽光発電設備一体型)を設置する計画です。ソーラーカーポート設置後は、発電した太陽光由来の CO2フリー電力を工場使用電力の一部に利用します。

*CO2フリー電力:発電時にCO2を排出しない再生可能エネルギー電源(水力、太陽光など)に由来する CO2フリー価値付きの電気のこと

環境アジア・オセアニア炭酸ガスのロス削減に向けた取り組み(Supagas)

Supagasでは、炭酸ガスのロス削減に向けたプロジェクトに取り組んでおり、今まで使用していたコンテナに代わって新しい貯蔵タンクを導入しました。新しい貯蔵タンクにはCO2凝縮器が設置されており、タンク内の圧力を制御し、圧力上昇によるガス放出を低減します。これにより、年間60,000kgの炭酸ガスのロスが削減される見込みです。また、LPG回収システムを新たに設計しました。これにより、定期検査中のボンベに残ったLPGを回収・貯蔵し、また新しいSupaSwapボンベ*に充填することが可能になります。このプロジェクトにて年間26,000kgのLPGを回収できる見込みです。

*SupaSwapボンベ:
家庭用の持ち運び可能な3.5kgもしくは8.5kgのLPGボンベ。顧客が空のボンベを持ち込み、満タンのボンベと交換する。

新しい貯蔵タンク(左)と従来コンテナ(右)

環境アジア・オセアニアCO2排出量9トン相当の年間15万枚の紙の消費を削減

Supagasでは、ドライバーが紙を使った業務を削減する取り組みを行いました。その目的は、配送が完了しなかった理由をドライバーがペーパーレスで報告できるようにし、ガス配送の効率を高めることです。ドライバーは、業務終了後に書類を記入する必要がなく、専用のアプリが実際の配達数量を自動的に更新します。これにより、1業務あたり平均15~20分の時間を節約できます。 さらに、このシステムは管理、ロジスティクス、スケジューリングの各チームにも展開され、確認やファイリングが必要な書類の量が削減されます。環境保護の観点からも、プロセスをデジタル化することで、年間15万枚の紙の消費を削減し、これはCO2排出量9トンに相当します。

環境米国環境エネルギー賞受賞

MATHESONのテネシー州ニュージョンソンビルにある特殊ガス工場が、テネシー商工会議所主催の「2023年環境・エネルギー賞」で、固形廃棄物管理の分野で優れた成果を収めたとして表彰されました。この賞は、環境保護と改善、そして革新的なエネルギープロジェクトにおいて優れた成果を上げた企業や産業を表彰するものです。 同事業所は、固形廃棄物(非有害および有害廃棄物)の継続的な削減と大規模なリサイクルへの取り組みが高く評価されました。2019年から2022年にかけて、リサイクル率が20%増加し、埋め立て廃棄物削減率は43%を達成しました。今後も環境への取り組みをさらに改善し、実証できる機会を継続的に模索していまいります。

環境サーモス使用済みステンレス製魔法びん回収サービス

サーモスは、地球環境への負荷を軽減することは重要な使命であると考え、2023年5月、使用済みステンレス製魔法びん回収サービスを開始しました。回収は主にサーモス直営店で行っており、サーモススタイリングストア4店舗、サーモスストア8店舗と、全国の計12店舗で実施しています。(2024年8月現在) 本サービスでは、ステンレス製魔法びん構造のボトル、タンブラー、カップ、スープジャーを回収しており、回収された製品は再生材となって様々な製品に生まれ変わります。サービス開始から2024年5月までに約520kg、サーモスJNLシリーズ(0.5L)換算で約2,400本分が回収されました。 お客様一人ひとりのご協力が、資源の再利用と環境への負担軽減に大きく貢献しています。今後もこの取り組みを継続し、回収拠点を拡大させながら、さらなる環境保護に努めてまいります。
使用済みステンレス製魔法びん回収サービス

環境サーモスマイボトル推進プロジェクト

サーモスは、Bリーグ所属のプロバスケットボールクラブ「アルバルク東京」と SDGs パートナー契約を締結し、『マイボトル推進プロジェクト』を通じて環境負荷の低減に取り組んでいます。試合観戦時にマイボトルの利用を呼びかけ、ホーム試合会場でのペットボトルごみ削減を目指すプロジェクトです。ホーム試合会場に特設ブースを設置し、マイボトル持参者にオリジナルグッズが当たるキャンペーンの実施、使用済みステンレス製魔法びんの回収などを行いました。その結果、1試合1人あたりのペットボトル平均廃棄量は約4g、回収した使用済みステンレス製魔法びんの総重量は5.67kg(金属・樹脂合計)となりました。今後も本取組を通じ、試合観戦時のマイボトルの利用促進を目指してまいります。

マイボトル推進プロジェクト

環境米国DAC プラント向け酸素供給契約を締結

Matheson Tri-Gas, Inc.は、空気中からCO2を直接回収する DAC*(Direct Air Capture、直接空気回収)事業を推進する 1PointFive 社(読み「ワンポイントファイブ」)と酸素供給契約を締結し、同社がテキサス州に初めて建設する DAC プラントに酸素を供給します。
酸素はDAC工程で使用されDAC工程で生成されたCO2は貯留層に安全に隔離されます。当DACプラントは、2025年半ばに操業を開始し、世界最大規模である年間50万トンのCO2を回収できる見込みです。当社グループは、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、対象となりうるお客様やプロジェクトを積極的に探索するとともに、十分に精査をしながら、事業の拡大を進めていきます。

*DAC(Direct Air Capture、直接空気回収):今回 1PointFive 社が活用するのは、カナダの Carbon Engineering of Canada 社が開発した、水酸化カリウム(KOH)溶液を用いて空気中のCO2を吸収する技術です。

DAC プラント向け酸素供給契約を締結

環境日本10トン/日規模のCO2回収装置を販売開始
カーボンニュートラル社会の実現に貢献

大陽日酸は、石灰製造炉などの高濃度二酸化炭素(CO2)排出源から98%以上の濃度でCO2を回収可能なPSA(Pressure Swing Adsorption)方式のCO2回収装置を開発・商品化し、販売を開始しました。カーボンニュートラルへの取り組みに対して、当社はこれまで培ってきたガス分離精製技術を活かし、CO2回収装置の開発を進めてまいりました。CO2回収装置はCO2を回収し、高濃度化したCO2を炭酸塩等の原料やメタネーションに利用することができます。今後も当社は、これまで培ってきたガス・液化CO2製造供給技術にCO2回収装置を組み合せ、ガス供給網を活用したCO2の回収から利用まで様々な形でカーボンニュートラル社会の実現に貢献していきます。

CO2回収装置外観(イメージ)

環境米国世界環境デーを祝福

世界環境デーにちなみ、Matheson Tri-Gas, Inc (MATHESON)とL&TエナジーはNumaligarh Refinery Limited(NRL)と共同で、インドで計画されている水素施設の建設現場に植樹を行い、この特別な日を祝いました。MATHESONは、2022年12月にインド政府の関連会社であるNRLから20年間の水素と副生蒸気の供給を受注しました。このプラントで生成される水素と副生蒸気は、極めて戦略的なヌマリガル製油所拡張プロジェクト(NREP)とインド政府の北東部開発構想において重要な役割を果たします。私たちは、この先見的な試みの一員となることを光栄に思います。
世界環境デーを迎えるにあたり、私たちは成長を促進し、よりクリーンなエネルギーとカーボンニュートラルな社会の実現に貢献する機会を地球規模で探求していきます。

植樹イベントの様子

環境欧州グリーン水素製造プロジェクトに参画

Nippon Gases Euro-Holding(NGE)のベルギー事業会社であるNippon Gases BelgiumとTerranova、Luminusの3 社で合弁会社を設立し、ベルギーのゼルザーテでグリーン水素製造プラントを建設、運営します。 グリーン水素はゼルザーテのTerranovaの拠点において、太陽光発電や陸上風力発電によるグリーン電力を使って製造されます。製造開始は 2025 年初頭を予定しています。NGEは、このプロジェクトにおいて生産されるグリーン水素を既存の顧客に販売するとともに、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、エネルギー転換需要などの新たなグリーン水素需要も捉えていきます。
グリーン水素製造プロジェクトに参画

環境欧州グリーン電力の積極的活用

Nippon Gases Euro-Holding(NGE)の空気分離装置は、電力供給会社から原産地保証(GO)証明書を購入することで、認証された再生可能エネルギーを使用した工業ガスを製造することができます。NGEは、このようなGO証書や、PPA(電力購入契約)による再生可能エネルギーの専用契約を通じて、再生可能エネルギー量を増やす戦略を開始し、グリーン電力を用いた製品を提供しています。欧州の発電による温室効果ガス排出係数は442.66g-CO2/kWh(EAM2021)である一方、NGEの平均排出量は325g-CO2/kWhとなっています。
グリーン電力の積極的活用

環境世界太陽光発電導入実績

日本酸素ホールディングスグループでは、カーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組みの一環として、太陽光発電設備を積極的に導入し、電力の一部を太陽光発電による再生可能エネルギーへ切り替えています。右表は、近年太陽光発電設備を導入した事業所を示しております。今後も太陽光発電設備を設置することにより、電力のグリーン化に取り組み、電力消費による間接的なCO2排出量抑制を進めることで地球環境の改善に貢献していきます。

近年の導入事例 地域
TNSCグループ4拠点 日本
Matheson Alizona 米国
Supages23支店 オーストラリア
NGE6拠点 ドイツ

環境日本重水素化アンモニア 日本初の量産体制構築

大陽日酸は、アンモニア(NH3)の水素を重水素(D)で置換した、重水素化アンモニア(高圧ガス)の製造販売を開始しました。半導体利用、化学反応原料、分析などに利用されてきた重水素化アンモニアは、これまでは日本の需要に対し、海外からの輸入に頼ってきました。当社独自技術により、日本で初めての量産体制となる高純度、高重水素化率の製品を製造可能なプロセス構築に成功し、高まるグローバルでの需要に対する供給体制を整えました。今後の需要拡大に向けて、増産を進めていきます。

シリンダー及びキャビネット外観写真

環境欧州バイオメタンの製造への貢献

Nippon Gases Euro-Holding (NGE)の高効率酸素溶解技術は、生物学的水処理プラントにおけるエアレーターのような従来の酸素供給方法と比較して、電気エネルギーが削減できます。このソリューションにより、何百万立方メートルの廃水が処理され、水源に放流されるかリサイクルされ、常に環境基準を満たします。廃水処理場からの汚泥、食品産業からの有機廃棄物、廃棄物埋立地からの廃棄物はバイオガスに変換され、バイオメタンと「バイオCO2」を生産します。バイオメタンは、BioLNGやBioCNGとして化石燃料の代わりに自動車・フォークリフト用途として、バイオCO2はさまざまな用途に利用されています。
バイオメタンの製造への貢献

環境日本微細藻類ベンチャー「株式会社アルガルバイオ」への出資、ならびに提携

アルガルバイオ社はユニークな藻類株、育種、量産培養を併せた世界屈指の技術基盤と開発環境を有する微細藻類ベンチャーです。微細藻類は豊富なタンパク質やビタミン、アミノ酸を含んでおり栄養補助食品として親しまれているのみならず、窒素やリンを吸収し水質浄化にも役立てられています。藻類は CO2 を原料に有用な化合物を産生するため、カーボンニュートラル事業へと直結する可能性が大きい分野です。大陽日酸はアルガルバイオ社への出資と事業提携により、両社の研究開発の促進、微細藻類の大量培養技術の確立などに尽力し、サステナブル社会への取組みを推進いたします。
微細藻類ベンチャー「株式会社アルガルバイオ」への出資、ならびに提携

環境日本5社協働によるマイボトルの利用促進に関する
共同実証実験を実施

サーモスは、2022年4月18日より約1カ月間、5社協働によるマイボトル利用促進に関する共同実証実験を行いました。協働した5社(括弧内はその役割・提供リソース)は、サーモス(マイボトル)、東京建物様(実証実験フィールド、参加者約300名)、パナソニック様(マイボトル専用自動洗浄機)、アペックス様(マイボトル対応コーヒーマシン)、味の素 AGF 様(コーヒー豆)です。同実施期間中、紙コップの廃棄量はほぼゼロを達成し、参加者の環境に対する意識の向上がみられました。マイボトルの機能性や利便性も高く評価され、引き続き利用したいという意見が多く得られました。
5社協働によるマイボトルの利用促進に関する 共同実証実験を実施

環境日本「使用済みステンレス製魔法びん」回収サービスを開始

サーモスは、使用済みステンレス製魔法びんの回収サービスをサーモス スタイリングストア関東3店舗(二子玉川ライズ店、マークイズみなとみらい店、テラスモール湘南店)で開始しました。回収した使用済みステンレス製魔法びんは、リサイクル事業を展開するリバー株式会社様にて破砕・選別などの処理を行い、再生材としてさまざまな製品の素材に再利用されます。また、サーモス社内及びグループ会社である大陽日酸本社においてもリサイクルボックスを設置し、使用済み製品の回収に努めています。今後状況を確認しながら、回収拠点を順次拡大していく予定です。
「使用済みステンレス製魔法びん」回収サービスを開始