サステナビリティトピックス(環境)

日本酸素ホールディングスグループは、革新的なガスソリューションにより社会に新たな価値を提供し、あらゆる産業の発展に貢献するとともに、人と社会と地球の心地よい未来の実現をめざしています。こうした想いを社員全員が共通認識として理解するグループビジョンに込め、グループ一丸となってサステナビリティ経営を推進しています。

サステナビリティの取組みは、グローバル各地で多岐にわたり展開しており、人、社会、そして地球の課題解決に貢献していくことが、社会価値と経済価値を同時に向上させるとともに、当社グループの企業価値の向上にもつながっていくと考えています。

環境日本CO2回収装置の適用可能な原料CO2濃度範囲を拡大

大陽日酸は、2023 年4月に販売を開始した、「10ton/日規模 二酸化炭素(CO2)回収装置」の適用可能な原料 CO2濃度範囲を拡大し、幅広いCO2排出源からのCO2回収を可能にしました。これまで培ってきたガス分離精製技術を活かし、CO2回収装置の適用可能な原料 CO2濃度範囲を従来の20-40%から20-60%まで拡大しました。これにより、より多くのお客さまに対して脱炭素ソリューションを提供できるようになります。当社はCO2 回収装置を様々なお客様に販売することを通じて、カーボンニュートラル社会の実現に貢献してまいります。

小規模タイプCO2回収装置(外観)

環境日本世界初、ガラス溶解炉の燃料としてアンモニアを利用した実証試験に成功

大陽日酸は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「工業炉における燃料アンモニアの燃焼技術開発」において、世界で初めて、ガラス溶解炉でのアンモニア燃料実証試験に成功しました。AGC株式会社(以下、AGC)のAGC横浜テクニカルセンターで、建築用ガラス製造炉にアンモニア・酸素燃焼*バーナ1対を導入しアンモニア燃焼技術の実機試験を行いました。試験では、ガラス溶解炉の温度を維持しつつ、排ガスに含まれる NOx 濃度が環境基準値を下回る結果が得られました。今後、スケールアップしたバーナ試験と、他拠点のガラス溶解炉での実証試験を行うことで、アンモニア燃焼技術活用の範囲を見極め、2026年度以降にガラス溶解炉への本格導入を目指します。

*酸素燃焼:
支燃性ガスとして、酸素あるいは酸素濃度を高めたガスを用いた燃焼のことです。

今回実証試験を行ったガラス溶解炉

環境欧州グリーン水素のみを燃料とする世界初の取鍋予熱装置を導入

Nippon Gases Europeは、カーボンニュートラルに関する取り組みをサポートする企業として、Sarralle社の協力のもと、CO2排出量ゼロを実現する、グリーン水素のみを燃料とした世界初の取鍋予熱装置をArcelorMittal社のSestaoプラントに導入しました。今回のプロジェクトは、現行の取鍋予熱作業を改善し、燃料を天然ガスからグリーン水素に転換することにより、CO2排出量を最小限に抑えることを目的としました。その結果、燃料としてグリーン水素のみを使用し、取鍋を加熱した場合、全ての条件において、必要とされる温度に昇温することが実証されました。

環境日本工業炉向け水素―酸素バーナを開発

大陽日酸は、水素ガスを燃料として用いる工業炉向け水素-酸素バーナを開発しました。同社酸素バーナのラインナップである「SCOPEJET」「Innova-Jet」「Innova-Jet Swing」は水素を燃料とする利用が可能となりました。水素ガスは工業炉向けのカーボンフリーな燃料として注目されており、大陽日酸では2021年度より水素-酸素バーナの開発に取り組んできました。日本国内では年間約11.2 億トンのCO2が排出され、そのうち35%を産業分野が占めており、多くの工業炉から排出されています。本技術を通して、水素エネルギーの社会実装および工業炉分野でのCO2排出量削減へ貢献します。

SCOPE-JETの燃焼火炎

環境日本水素-酸素を用いた粉体溶融球状化技術を開発

大陽日酸は、純酸素燃焼を用いた粉体溶融・球状化システム「CERAMELTⓇ」と水素燃焼技術を組み合わせ、半導体材料製造プロセスにおけるカーボンニュートラル実現に貢献できる無機質粉体溶融・球状化技術を開発しました。球状粒子は半導体封止材料等の樹脂充填剤として用いられ、半導体製品の性能向上や小型化に大きく寄与してきました。近年の半導体の使用領域拡大に伴い、製造過程における環境負荷低減に対する要求が厳しくなっています。当社が開発した本技術は、燃料に水素ガスを用いることで燃焼排ガス中のCO2 をゼロにし、製造過程における環境負荷低減に大きく貢献すると共に、製品中のカーボン不純物を低減した高品質な球状粒子の製造に貢献できます。

溶融・球状化前後でのアルミナ粒子の外観

環境日本燃料電池自動車(FCV)用水素製造の実証試験に成功

大陽日酸は、アンモニアから燃料電池自動車(FCV)の水素燃料に求められる品質仕様(ISO 14687:2019 Grade D)を満たす水素の製造実証に成功しました。カーボンニュートラルの実現に向け、当社はこれまで水素ガスの精製技術を開発してきました。これまで培った水素ガス精製の知見を基に、アンモニア分解炉と当社が開発した水素精製装置を組み合わせた水素製造試験を行い、製品水素が燃料電池自動車用水素燃料に要求される規格を満たすことが実証できました。今後はアンモニアから水素ガスを製造する装置の商品化を進めいきます。

試験装置外観

環境日本アジア・オセアニアタイにおけるトヨタ自動車のカーボンニュートラルの取り組みを水素供給で支援

大陽日酸およびニッポンサンソ・タイランドは、トヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ社)がタイで推進している、カーボンニュートラル社会実現に向けた水素の利活用の取り組みを支援しています。①水素を充填・供給ができる大陽日酸の独自開発のパッケージ型水素ステーション「ハイドロシャトル」を使用し、トヨタ社が行う物流における実証試験でFCトラックに直接水素を供給しました。②2023年12月22~23日の2日間、タイのブリーラムで開催された「IDEMITSU SUPER ENDURANCE SOUTHEAST ASIA TROPHY 2023」(10時間耐久レース)において水素エンジンカローラ「ORC ROOKIE GR Corolla H2 concept」への水素供給を行い、完走まで支援しました。

ハイドロシャトル(左)による水素供給の様子

環境日本NEDO「競争的な水素サプライチェーン構築に向けた技術開発事業」に「大規模外部加熱式アンモニア分解水素製造技術の研究開発」が選定

日揮ホールディングス株式会社(以下、日揮HD)、株式会社クボタ(以下、クボタ)、大陽日酸の 3 社は、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「競争的な水素サプライチェーン構築に向けた技術開発事業」(以下、本事業)に共同で応募し、採択されました。本事業において、年産 11 万トンの水素製造事業を想定し、輸入したアンモニアを熱分解して水素を得る「大規模外部加熱式アンモニア分解水素製造技術の研究開発」(以下「本研究開発」)に取り組みます。本研究開発は、液体アンモニアの気化、予熱したアンモニアガスの加熱分解、分解ガス精製による高純度水素製造からなるプロセスの最適化を目指すものです。日揮 HD は分解炉および全体プロセスの開発と共に実証を見据えた全体統括を、クボタはアンモニア分解管の研究開発を担当します。大陽日酸は水素精製装置の研究開発を担当し、カーボンニュートラル社会に欠かせない大規模な水素製造の技術開発に貢献します。

本研究開発におけるプロセスフローと分解炉のイメージ図

環境日本東京都及び公益財団法人東京都環境公社が実施する 「新エネルギー推進に係る技術開発支援事業」で採択

大陽日酸、商船三井テクノトレード株式会社、株式会社 seso、株式会社 MOTENA-Sea(商船三井テクノトレード株式会社 90%出資)の4社は、東京都及び公益財団法人東京都環境公社が実施する「新エネルギー推進に係る技術開発支援事業」に対して、「水素燃料を活用した電気推進観光船導入に向けた、洋上における水素サプライチェーン構築(以下「事業」)」を提案し、採択されました。今回の事業では、東京都における GHG 削減およびエネルギーBCP のため、海水を活用した洋上(台船上オンサイト型水素ステーション)での水素製造と、水素燃料船への水素供給といった洋上に於ける水素サプライチェーンの構築を進めます。

台船上オンサイト型水素ステーションのイメージ

環境日本次世代電動航空機向け400kW級全超電導モータの回転試験に世界で初めて成功

大陽日酸は、九州大学先進電気推進飛行体研究センター、産総研、多数の企業と共に、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの委託事業において、次世代航空機の実現を目指し、超電導技術を使った高効率かつ高出力電動推進システムを開発しています。開発グループでは、これまで超電導線の交流損失予測、低減および大電流容量化技術の開発を進めており、これらを適用することで、回転機の界磁巻線だけでなく電機子巻線まで含めた全てを超電導化した全超電導モータを開発し、液体窒素をポンプで循環させる冷却システムと組み合わせて、世界で初めて回転試験に成功しました。今回の結果は、航空機の電気推進化、次世代航空機の実現に向けた大きな成果であり、引き続き実用化に向けた開発を進めるとともに、同システムの空飛ぶクルマへの適用も目指していきます。

400kW 級全超電導同期モータ

環境日本「生産性に優れたSi基板上GaN系パワー半導体向けMOCVD装置の開発」がNEDO事業に採択

大陽日酸は、国立大学法人名古屋工業大学・窒化物半導体マルチビジネス創生センターと共同で、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「脱炭素社会実現に向けた省エネルギー技術の研究開発・社会実装促進プログラム」に「生産性に優れた Si 基板上GaN系パワー半導体向け MOCVD装置の開発」を提案し、採択されました。本提案では、高い電気エネルギー変換効率を持つGaN/Si エピ基板を安定的に供給可能な世界最大級の次世代量産型MOCVD装置の完成を目指し、脱炭素社会の実現と国内産業の活性化に貢献します。

 

環境日本高純度 β 型酸化ガリウム結晶の高速成長を有機金属気相成長法で実現

大陽日酸および大陽日酸 ATIは、国立大学法人東京農工大学と共同で、電力制御・変換の高効率化に必須な次世代パワーデバイス用半導体結晶として注目されている β 型酸化ガリウム(β-Ga2O3)結晶の高純度結晶の高速成長をこれまで困難とされてきた有機金属気相成長(MOVPE)法で達成しました。独自の結晶成長炉内の反応解析結果に基づき、不純物である炭素の混入が無い高純度な β-Ga2O3を高速で成長できることを実証しました。この成果により、今後、省エネ社会実現に向けた β-Ga2O3パワーデバイスの量産技術の実用化が期待されます。

減圧ホットウォールMOVPE 装置(FR2000-OX)

環境日本国内企業初※1
重水の再濃縮装置を開発しサステナブルなリサイクル体制を構築

大陽日酸は、これまで廃棄していた使用済み重水を再濃縮する装置を開発し、重水のリサイクル体制をつくば開発センター内に構築しました。重水は水素の安定同位体である重水素を多く含む水で、原子力分野や NMR 分析用溶媒などの研究分野をはじめ、様々な領域で使用されていますが、国内需要に対し全量を海外からの輸入に頼っており、海外の需給状況や製造国の輸出政策の影響を受けやすく安定調達が容易ではない物質です。重水再濃縮の商業化は国内企業としては初となります。本リサイクル体制の活用により重水素標識化合物*2向けの重水の一部が社内調達可能となるとともに、廃棄重水量は従来当社比で半減する見込みです。今後は本再濃縮装置の安定稼働継続を図るとともに、社外の重水再利用ニーズの探索や需要に応じた増産方法について検討を進めます。
(注)
※1当社調べによる 
※2重水素標識化合物:化合物内の水素原子の一部または全てを重水素(D)に置換した化合物の総称

環境アジア・オセアニアNippon Sanso Vietnamのベトナム北部地域で初となる充填所がオープン

Nippon Sanso Vietnam(NSVN)は、ベトナム北部地域ではNSVN初となる充填所を開所しました。窒素、アルゴン、混合ガス(最大5種類)それぞれで、最大1,920本/月の充填能力を誇ります。また、六フッ化硫黄(SF6)の代替となる安全で環境に優しいMGシールドガスを充填できるベトナム唯一の充填所です。充填所の設備は最大30MPaGで、業界をリードする充填圧力を有しているため、より効率的なガスの貯蔵と輸送が可能であり、さまざまな業界のお客様にメリットを提供できます。NSVNは引き続き、信頼性の高い高品質なガスソリューションを提供することで、ベトナム北部の産業の成長と発展をサポートしてまいります。

充填所の外観

環境日本大陽日酸JFP三重工場の使用電力全量をCO2フリー電力に切替え

大陽日酸 JFPは、半導体材料ガスを製造している三重工場(三重県伊賀市)の使用電力全量を 2024 年5月1日から、中部電力ミライズ株式会社が供給する、CO2フリー電力*に切り替えます。この切り替えにより、1年間の電力使用量に対するCO2発生量は 2022 年度実績比で約 1,800 トン削減されます。また、2025 年春を目途に三重工場敷地内にソーラーカーポート(太陽光発電設備一体型)を設置する計画です。ソーラーカーポート設置後は、発電した太陽光由来の CO2フリー電力を工場使用電力の一部に利用します。

*CO2フリー電力:発電時にCO2を排出しない再生可能エネルギー電源(水力、太陽光など)に由来する CO2フリー価値付きの電気のこと

環境アジア・オセアニア炭酸ガスのロス削減に向けた取り組み(Supagas)

Supagasでは、炭酸ガスのロス削減に向けたプロジェクトに取り組んでおり、今まで使用していたコンテナに代わって新しい貯蔵タンクを導入しました。新しい貯蔵タンクにはCO2凝縮器が設置されており、タンク内の圧力を制御し、圧力上昇によるガス放出を低減します。これにより、年間60,000kgの炭酸ガスのロスが削減される見込みです。また、LPG回収システムを新たに設計しました。これにより、定期検査中のボンベに残ったLPGを回収・貯蔵し、また新しいSupaSwapボンベ*に充填することが可能になります。このプロジェクトにて年間26,000kgのLPGを回収できる見込みです。

*SupaSwapボンベ:
家庭用の持ち運び可能な3.5kgもしくは8.5kgのLPGボンベ。顧客が空のボンベを持ち込み、満タンのボンベと交換する。

新しい貯蔵タンク(左)と従来コンテナ(右)

環境アジア・オセアニアCO2排出量9トン相当の年間15万枚の紙の消費を削減

Supagasでは、ドライバーが紙を使った業務を削減する取り組みを行いました。その目的は、配送が完了しなかった理由をドライバーがペーパーレスで報告できるようにし、ガス配送の効率を高めることです。ドライバーは、業務終了後に書類を記入する必要がなく、専用のアプリが実際の配達数量を自動的に更新します。これにより、1業務あたり平均15~20分の時間を節約できます。 さらに、このシステムは管理、ロジスティクス、スケジューリングの各チームにも展開され、確認やファイリングが必要な書類の量が削減されます。環境保護の観点からも、プロセスをデジタル化することで、年間15万枚の紙の消費を削減し、これはCO2排出量9トンに相当します。

環境米国環境エネルギー賞受賞

MATHESONのテネシー州ニュージョンソンビルにある特殊ガス工場が、テネシー商工会議所主催の「2023年環境・エネルギー賞」で、固形廃棄物管理の分野で優れた成果を収めたとして表彰されました。この賞は、環境保護と改善、そして革新的なエネルギープロジェクトにおいて優れた成果を上げた企業や産業を表彰するものです。 同事業所は、固形廃棄物(非有害および有害廃棄物)の継続的な削減と大規模なリサイクルへの取り組みが高く評価されました。2019年から2022年にかけて、リサイクル率が20%増加し、埋め立て廃棄物削減率は43%を達成しました。今後も環境への取り組みをさらに改善し、実証できる機会を継続的に模索していまいります。

環境サーモス使用済みステンレス製魔法びん回収サービス

サーモスは、地球環境への負荷を軽減することは重要な使命であると考え、2023年5月、使用済みステンレス製魔法びん回収サービスを開始しました。回収は主にサーモス直営店で行っており、サーモススタイリングストア4店舗、サーモスストア8店舗と、全国の計12店舗で実施しています。(2024年8月現在) 本サービスでは、ステンレス製魔法びん構造のボトル、タンブラー、カップ、スープジャーを回収しており、回収された製品は再生材となって様々な製品に生まれ変わります。サービス開始から2024年5月までに約520kg、サーモスJNLシリーズ(0.5L)換算で約2,400本分が回収されました。 お客様一人ひとりのご協力が、資源の再利用と環境への負担軽減に大きく貢献しています。今後もこの取り組みを継続し、回収拠点を拡大させながら、さらなる環境保護に努めてまいります。
使用済みステンレス製魔法びん回収サービス

環境サーモスマイボトル推進プロジェクト

サーモスは、Bリーグ所属のプロバスケットボールクラブ「アルバルク東京」と SDGs パートナー契約を締結し、『マイボトル推進プロジェクト』を通じて環境負荷の低減に取り組んでいます。試合観戦時にマイボトルの利用を呼びかけ、ホーム試合会場でのペットボトルごみ削減を目指すプロジェクトです。ホーム試合会場に特設ブースを設置し、マイボトル持参者にオリジナルグッズが当たるキャンペーンの実施、使用済みステンレス製魔法びんの回収などを行いました。その結果、1試合1人あたりのペットボトル平均廃棄量は約4g、回収した使用済みステンレス製魔法びんの総重量は5.67kg(金属・樹脂合計)となりました。今後も本取組を通じ、試合観戦時のマイボトルの利用促進を目指してまいります。

マイボトル推進プロジェクト